削りたてのかつお節と白いご飯、昆布出汁のお味噌汁に美味しい佃煮が並んだ食卓。最高のごちそうですよね。
茨木市本町商店会にお店を構える山崎屋さん(以下:山崎屋)。
店先からは、ふわ〜っとかつお節のいい香りがただよって、抑えるのが困難なほどの空腹感におそわれてしまいます。
今回取材させていただいたのは、60年以上続く老舗『昆布と鰹の山崎屋』の2代目店主、土肥誠一さんです。
■ホームページ:http://yamazakiyakonbu.com/
■ネットショップ
■営業時間 平日(10時~17時30分) ※日・祝は定休
■電話番号:072-624-1407
■住所:〒567-0882 大阪府茨木市元町8-17
創業について
よろしくお願いいたします。
まずはじめに、創業について教えてください。
今年で62年目になります。
元々は父が立ちあげて、母と営んでいた店でして、私で2代目なんです。
高校生の時に一度「店を継ぐか?」と、聞かれたことがあったのですが、その当時は他のことに夢中だったので、断ったんですよ。
しかし、社会人になってしばらく経ったころ、大きな病気をしまして。それでリハビリも兼ねて、店を手伝うことにしたんです。私は日に日に回復して行ったんですが、今度は父の体調が悪くなり、5年前に他界しました。
そのタイミングで継ぐ決意をし、今に至ります。
戸惑いはありませんでしたか?
お店を継ぐことに戸惑いはありませんでしたか?
幼い頃から、昆布を束ねたりとか店の手伝いをしていましたので、商品の種類なんかもある程度はわかっていました。
家でも母が、当たり前のように鰹と昆布でお出汁をとっていたので、文化というか習慣を見てきてたので、違和感は全く感じなかったですね。
例えば父の話なんですが、新物の昆布が入荷してくると、必ず1回お出汁を出すんです。
「今年の味はどうか、出来はどうか」
そんな父の背中を見て育っているので、戸惑いはなく、そのまま真似事をしてるって感じですね。
ネット販売を始めたきっかけ
山崎屋さんはネットでも商品を販売されていますが、ネット販売を始められたキッカケはあったのでしょうか?
キッカケは、店の売り上げが、目に見えてどんどん落ちていったのを目の当たりにしたことです。うちは、30年40年通ってくださってる常連さんがたくさんいるんです。
でも当然、常連さんもご高齢になってきて、なかなか買い物にも出にくくなってきたといいますか。
このままではいずれ客足が途絶えてしまうので、それじゃあ新規顧客の開拓していこうと思ったんです。
そのためにはどうすればいいのか、考えたんですね。
日中の客足などを観察して見ていると、最近は主婦の方も働きに出られることが多く、昔ほどの人通りがないことに気づきました。それなら、ネット販売も取り入れて、全国的にやってみてはどうかという考えに行き着きました。
ネットショップ導入の知識はあったんですか?
ネットショップを作るのって大変だと思うのですが…もともと知識があったのですか?
まったくなかったです。
なので最初は、ひとつ400円の佃煮を送るのに、大きい箱に入れて、送料が930円になる。そんな商品は売れないですよね(笑)
考えて調べて、そしてメール便という存在を知りました。すると、急に売れ出したんです。
その後、手探りではありますが、掲載するバリエーションを増やしていって、今に至っています。
すべて独学ですか?
そうですね。独学です。
高校生のころからバイクレースをやっていたんですが、その当時はネットショップなんてなかったんです。代わりというわけではないのですが、バイクの月刊誌で『〇〇買います・〇〇売ります』のコーナーがあって、たまたま私の持ってたパーツが欲しい!という人を見つけたんですよね。
それで翌月、今度は私がそのパーツを掲載してもらったら、結果的に売れて、自分のお小遣いになったんです。
それが嬉しくて、その後も何度か「売ります」のやり取りをしてました。
いうならば、通販のはしりですよね。
もともと、商売の仕組みみたいなものが好きだったんだと思います。
おだし離れについて。
今の時代、化学調味料・添加物の入った食品は数多くありますが、『おだし離れ』について何か思うことなどありますか?
私自身、添加物の入っている食品も何の抵抗もなく食べますし、なのであまり偉ぶっては言えないんですが、まだ味覚が未発達な幼いころから、化学調味料の味に慣れてしまうと、味覚が鈍くなる味覚が鈍くなる可能性があるんです。
食べ物の味を構成する、基本五味の中でも「うまみ」を敏感に感じ取れるのは日本人の強みだと言われています。
なのに、そのうまみを育てていかないっていうのはもったいないですよね。
以前何度か食育の講習なども行っていたんです。
食育の講習やイベントについて
食育の講習!気になります。具体的にお話をお聞かせください。
私は、例えば大阪ガスさんや公民館などで、母はよく学校に行ってましたね。
削り節とその原料となる“節”を、それぞれ数種類ずつ用意して、これを削るとこうなるのよとお話しして。実際にみんなに削り節を食べてもらったんです。
それがまた好評で、きゃっきゃ言うてましたよ。そのあとにお出汁とって、お味噌汁を作り、みんなで飲んだんです。
おばあちゃんがいてはるおうちは、知ってらっしゃると思うんですが、小学生のお母さん方には珍しいことなのでしょうね。
例えば、お味噌汁には濃いお出汁が出る煮干しを使うとおいしいでしょ。
鰹節や昆布の入れるタイミングなども、そういう事をいろいろとお話しさせてもらったんです。とても喜んでくれはったんですよ。
その他にも、うちの佃煮の美味しさを知ってもらうために、おにぎりイベントもやりましたね。
おにぎりイベントは、具体的にどのようなことをしたのですか?
数種類の佃煮を具にした小さなおにぎりを、ラップで包んでたくさん作ったんです。
そして、削りたてのかつお節と、天然の昆布でお出汁をとったお味噌汁を作って、
店頭で振舞いました。
みなさん3つも4つも食べてくれました。そして、そのあとに商品を買って帰ってくださる方が多かったんです。
いくら「おいしい」と耳に訴えても、なかなか伝わりにくいんです。実際に自分で食べて、「おいしい」と感じたら、納得がいくものなんですね。
今後の夢
貴重なお話をありがとうございます!最後に、今後の夢についてお聞かせください!
鰹を削ってるお店自体が、北摂ではもううちだけになってしまったと思うんです。父が言うには、開業当時は20店舗ほどあったそうなんですが…。
昆布にしても佃煮にしても、、昔に比べると明らかに需要が減ってきてるのが現状なんです。
うちの店は、商店街という立地の中にあるのでその良さを生かして、商店街自体を活性化できたら…とは思っています。
とは言っても、ひとりで考えるって限界があるんですよね。
なので、同じような思いを持ってる人、前向きな発想の人とたくさん関わって、つながって、盛り上げていきたいと思っています。
インタビュアーから見た土肥さん:裏話
土肥さんの人柄を一言で表すなら「アイディアマン」です。
インタビュー中には、本当にたくさんのエピソード(逸話)を聞かせてもらいました。
とても気さくな土肥さんからは昆布愛、かつお愛がひしひしと伝わってきます。
常に新しいことに挑戦する、その姿にも惚れ惚れしてしまいました。
話が途切れない…取材ということも忘れるほど楽しい時間で、アクティブさのおすそ分けをもらえたような、ウキウキした気分で帰宅しました。
そのアイディアから生まれた商品のひとつである「昆布クッキー」。
購入して帰ったのですが、2歳娘の胃袋をガッツリつかんだようで、最後のひとつまで手放してくれませんでした。(姉妹品のかつおクッキーもあります)
余談ですが、幼いころ家でお好み焼きを作り、最後にかつお節を乗せると、ゆらゆらと動き出すのが不思議でした。
「かつお節は生きてるから動くんやで」と祖母に言われ、ずいぶんと長い間信じてました。
まとめ:茨木の誇れる伝統の老舗「昆布とかつおの専門家」
- 美味しいだしの取り方を知りたい
- 手土産や贈答用に、美味しい佃煮を贈りたい
かつお節のいい香りが漂う山崎屋に行けば、優しくて活力あふれる店主の土肥さんと、知識豊富な従業員の方々が、迎えてくれます。
うまみたっぷりの昆布だしと、削りたてのかつお節で、美味しくて至福の食事時間をぜひ楽しんでくださいね!
■ホームページ:http://yamazakiyakonbu.com/
■ネットショップ
■営業時間 平日(10時~17時30分) ※日・祝は定休
■電話番号:072-624-1407
■住所:〒567-0882 大阪府茨木市元町8-17